Chapter 12. BINDの設定

 本章の説明は、読者がBINDとDNSについての基本事項を理解していることを前提としています。BINDとDNSの概念については説明していません。本章では、BIND設定ツールbindconf)を使用して、BIND version 8の基本的なBINDサーバーのゾーンを設定する方法について説明します。ユーザーが変更を適用すると、BIND設定ツールにより、/var/namedディレクトリに/etc/named.conf設定ファイルとゾーン設定ファイルが作成されます。

 このツールにより提供される機能以外の機能が必要な場合は、BIND設定ツールを使用して/etc/named.conf設定ファイルを作成し、設定をカスタマイズすることができます。ただし、一度手動で設定ファイルを修正すると、そのカスタマイズされた設定の内容をBIND設定ツールを使用して編集することはできません。

Important/etc/named.confは編集しない
 

/etc/named.conf設定ファイルは編集しないでください。ユーザーが変更を適用すると、BIND設定ツールによりこのファイルが生成されます。BIND設定ツールを使用して実行することができない設定を行う場合は、これを使用しないでください。

 BIND設定ツールを使用するには、X Window Systemとroot権限でのアクセスが必要です。BIND設定ツールは、以下のいずれかの方法により起動します。

Figure 12-1. bindconf

 BIND設定ツールでは、デフォルトのゾーンのディレクトリが/var/namedになるよう設定されます。指定するすべてのゾーンファイルは、このディレクトリに含まれます。BIND設定ツールでは、値が入力されると基本的な構文のチェックも行われます。たとえば、有効なエントリがIPアドレスである場合、テキストエリアに入力できるのは数字とドット(.)だけです。

BIND設定ツールにより、正引きマスタゾーン、逆引きマスタゾーン、スレーブゾーンを追加することができます。Figure 12-1に示すように、ゾーンの追加後、それをメインウィンドウから編集または削除することができます。

 ゾーンを追加、編集、削除したら、ファイル=>適用を選択し、/var/namedディレクトリ内の/etc/named.conf設定ファイルとすべてのゾーンファイルにその内容を書き込む必要があります。また、変更を適用するとnamedサービスにより設定ファイルがリロードされます。ファイル=>終了を選択し、「終了する前に変更を適用しますか?」という質問に対して[はい]をクリックして変更を適用することもできます。

正引きマスタゾーンの追加

 正引きマスタゾーン(別名プライマリマスタ)を追加するには、[追加]ボタンをクリックし、[転送するマスターゾーン]を選択して、[ドメイン名]テキストエリアにマスタゾーンのドメイン名を入力します。

 Figure 12-2に示すような新しいウィンドウが表示されます。このウィンドウには以下のオプションが表示されています。

Figure 12-2. 正引きマスタゾーンの追加

 Figure 12-2に示す設定では、/etc/named.conf内の以下のエントリを作成しています。

zone "forward.example.com" {
 type master;
 file "forward.example.com.zone";
};

 この設定では以下の情報を含むファイル/var/named/forward.example.com.zoneも作成されます。

$TTL 86400
@ IN SOA @ root.localhost (
 1 ; serial
 28800 ; refresh
 7200 ; retry
 604800 ; expire
 86400 ; ttl
 )

 正引きマスタゾーンの設定が終了したら、Figure 12-1に示すように、[OK]をクリックしてメインウィンドウに戻ります。プルダウンメニューからファイル=>適用を選択して、/etc/named.conf設定ファイルと/var/namedディレクトリ内の個々のゾーンファイルに変更内容を書き込み、デーモンに設定ファイルをリロードさせます。